2015のストーリー その10「偉大なヒント」
ラウプーノの根っこを持ち帰った4人は、その日からせっせと煎じ始めた。
リリムはラウプーノを使った人たちの元へ完成したポチラーゼを配って歩いた。
最初は信じてくれなかった人たちも、正気に戻ったプーノの姿を見て、ポチラーゼを受け取ってくれるようになった。
「お母さん、これからはラウプーノをパイにしよう!」
「パイに?」
「うん、お母さんパイが得意料理でしょ。僕、お母さんのパイが大好き!」
「ありがとう」
「ポチラーゼをスパイスとして使うんだ。そうするとパイと一緒に食べたポチラーゼは、体の中でじわじわ溶けて、ラウプーノの学びが終わった頃、効いてきて元に戻る。それならポチラーゼを飲むのを拒むことなんてできなくなるよ」
「そうね!」
「僕のおまじないで、ラウプーノの学びがみんなの魂の奥深くに届くようになるんだって。だからラウプーノパイを食べた人たちは、みんな助かる!これまでみたいに助からない人がいなくなるんだ。そのために木の精だった僕はお母さんのところに来たんだよ!」
「すごいわ!プーノ」
「これこそ、おふたりにしかできないことですね!」
「本当だ!」
「…それにしても不思議です。ラウプーノが作れるのならば、元気になれる薬だって作れるはずです。なのにどうしてこんなまどろっこしいやり方が届くのでしょう?」
「それはね!元気には自分でなるものだからです」
「そう、誰かや何かに頼って元気にしてもらうものじゃない」
「なるほど、確かにそうですね。だからヒントだけが届いたんですね」
「だけど、偉大なヒントです」
「こんなに具体的で親切なヒントは、なかなか受け取れませんよ」
「本当だ、それならやっぱり頑張らなくちゃ。私、これからもラウプーノの木の恵みを皆さんに届けて行きます」
「その調子です!」
「よかった、これで私たちも安心して旅を続けられます」
「ふたりに出会わなかったら、私たちどうなっていたことでしょう。本当にありがとうございました。おふたりのこと忘れません」
「そんな…私たちも忘れません」
「またきっとお会いしましょう!」
「えぇ、きっと!」
「チッチ姉ちゃん、サム兄ちゃん元気でね!」
笑顔で再会を約束した4人。お互いに姿が見えなくなるまで、いつまでもいつまでも手を振り合った。
チッチとサムの旅は、まだ続きます。
(次回に続く)
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